251日目 神々の山嶺
12月25日、今日こそ忘れ物は無い。再び固い握手を交わし出発する。
早朝の金沢の街を駆け抜ける。まだ人がいない兼六園や金沢城を横目に北上を続ける。
金沢城。加賀百万石。
30キロほど走ると山間に差し掛かると共に登りが始まる。もう紅葉には遅いが木々の間を走るのは気持ちがいい。登りも適度で吐く息も白い。しかし日差しがあるのでそこまで寒くはない。
丁度昼頃に石川富山の県境である倶利伽羅峠に到着。源平合戦の一つ、木曾義仲を一躍有名にした倶利伽羅峠の戦いの舞台だ。
火牛の計。牛の角に松明を結んで崖から駆け降りさせて敵の混乱を誘う戦法。無茶な戦法だよ。
当時は難所だったみたいだが、現代にはトンネルが山を貫き大分楽になった。しかし日本トップクラスに狭いトンネルだったので冷や汗ものだ。
トンネルを抜けると富山県に入る。
一気に降って富山平野へ。平野に入って目の前に広がったのは北アルプスの山並みだった。
度肝を抜かれた。しばらく走らずに橋の上から山を見ていた。いつかあの頂きからの景色も見てみたいと強く思った。その後旅を終えてから山岳小説を読み漁る機会になったのもこの時である。
しばらく山並みを眺めながらゆっくり走っているといつの間にか夕方に。慌てて今日の宿と目論んでいたネットカフェへ急ぐ。今日の夕飯は少し豪華にココイチのカレー。なんて言ったってクリスマスだしね。