4287のよろっと自転車日本一周旅

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知床峠と大いなる決断 61日目

 6月19日、クリオネキャンプ場にて起床。今日は知床峠に挑むため少し早起きだ。ペアランしている堀くんとは違うところに泊まったため一人での出発。彼とは知床峠の麓で落ち合うことになっている。

 

 この日も快晴。斜里町から知床へ向かう道はしばらく内陸を進み、海に出る。海沿いを走る道は景色もよく知床への期待感も高まる。

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 快調に進み知床八景の一つ、オシンコシンの滝に着く。なぜこんな名前なのか。アイヌ語は奥が深い。それでも雄大な滝でマイナスイオンがガンガン感じられた。

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 それからトンネルを抜け、知床峠麓の町、ウトロに着こうかという時に耳慣れた音が後輪から響く。トンネルの中で響いたその音はかすかな残響となってこだました。トンネルを抜けた先で後輪を確認する。もう恐る恐るではなく堂々と見る。すると案の定スポークが一本折れている。もうなんの感情も起きない。もちろんウトロの街で直せるわけもない。目の前には標高738mの知床峠が待ち構える。それに昨日直したばかりであることから同じような状況が続くと予想される。このまま一本ずつ直していたらきりが無いし財政的にも厳しい。

 

 ここで僕は大きな決断をすることになった。自走での北海道一周を断念。輪行で札幌に向かいホイールを一から組み直す。もしくは新車を手に入れる他ない。本当に悔しく、情けないが仕方がない。楽しみだった釧路湿原や帯広のヤドカリの家、日高地方、襟裳岬も行けなくなってしまったが仕方がない。仕方がないのだがやりきれない。

 

 兎にも角にも峠を越えなくてはならないのでウトロの道の駅で即時必要なもの以外を札幌に送り軽量化を図る。このままの重さで峠に挑めば二本三本と折れる可能性が高い。そうなると最悪ホイールの崩壊による自走不可能、遭難、熊に食われる、めでたしめでたし。まで予想ができた。流石にそれはないかも。

 

 そんなこんなで峠のセクションに移る。この日の知床峠は快晴で過ごしやすい気温だ。峠の斜度はそこまでキツくはないが距離が長い。えっちらおっちら登っていくと目の前に羅臼岳がキレイに見える。

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 世界遺産でもある知床の大自然の中ドンドン登っていく。常に熊を探していたが結局見れなかった。嬉しいのか悲しいのか。

 

 そしてついに頂上に到着。終わってみればアッサリしたものだ。それよりスポークのことで頭がいっぱい。

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 この後はひたすら下る。つづら折りの坂道を一気に降る爽快感はたまらない。あっという間に麓の羅臼の町まで駆け降りた。

 麓では熊の湯という天然温泉に入って疲れを癒す。いやー格別の湯だった。すごい熱い湯だけど。なんたって源泉は100度近いらしい。地元の人が注意してきてうるさいという噂を聞いていたが、湯に入る上で普通のことを普通にできていれば問題ない。湯に入る前に身体を洗うとか、掛け湯する際に跳ねないようにしゃがむとか、風呂の中で写真を撮らないとか。なーんにも特別なことはない。むしろ地元の人と話せて楽しかった。

f:id:yotsushu:20190622065249j:imageそ、そりゃ僕も外観は撮りましたよ。

 

 そして町中まで降りてこの日は終了。この先の根室駅まであと130キロ。持ちこたえてくれよ!俺の愛車よ!!

 

ってまぁ書いてる時点で持ちこたえてくれてるんですけどね。根室納沙布岬にて更新。

 

走行距離 71.6キロ