ウニとニッカと余市と岬 23日目
タイトルの発音は河島英五の「酒と涙と男と女」な感じで読んでください。
今日は積丹半島を攻めていく。「積丹ブルー」と評されるコバルトブルーの海が楽しみだ。しかもウニが日本で一番美味いとも聞いている。まぁ貧乏旅行の僕には関係ないのだが。
岩内町の道の駅を出発し、一路神威岬へ。積丹半島の先っちょで、絶景が広がる岬である。積丹半島の道中には鰊御殿と思われる豪邸や鰊を貯蔵する蔵など、歴史的建造物が多くあった。そして昨日もトンネルが多かったが、積丹半島もトンネルが多い。こちらを見ていただければ一目瞭然。
数えてみたら今日の走行距離約90キロの内、25キロがトンネルであった。いちいち写真を撮るのも面倒く、一キロくらいなら
あ、短いな、と思うようになってしまった。
そして積丹ブルーの感動を神威岬で最大限感じたい僕はあるバカなことを一人心に決めた。
「神威岬まで絶対海を見ない。」
バカである。常に道路の左側は海なのだからどだい無理がある。しかし僕は頑なに海と目を合わせなかった。しかし、どうしてもトンネルを出た際はその解放感あふれる景色につい海の方を向こうとしてしまう。その度に奇声を発して視線を前に戻す。これを繰り返していると脳みそが
「あ、キレイな海」
と感じる前に視線を前に戻せるようになった。
そんなこの先二度と使わないであろう特技を習得しながらトンネルと越えついに神威岬へ到着。海を見ないように変な体勢で漕いでいたため首と肩を痛めながらの到着である。
「ったく、こんな思いまでしてくるとこかよ」
などと本末転倒なことを思いながら駐車場に自転車を停め、岬の先端までつながる道を歩き始める。最初の坂を登り、門の前に立つ。
「、、、、」
まずこの時点で言葉が出なかった岬の先端までつながる一本の道は細く、稜線上にあるため万里の長城のような雰囲気である。しかし異なるのは両側、また前方、自分の視界全てに深い青があることだ。
恍惚としながら一本道を歩いていく。ちなみにこの場所に行きたいと思う人に忠告だが間違ってもサンダルなんかで行ってはいけない。軽いハイキングだと思ってもらっていい。
そんなこんなで先端へ。
先端からの景色はもう何も言えない。例えようが無い。遠くを眺めればかすかに曲がる水平線に地球を感じ、下に目を落とせば断崖絶壁、その下にはエメラルドブルーに輝く海。少し振り返れば雪を冠するニセコの山々。贅沢が詰まった場所であり、聖地であることも感じさせられた。
駐車場に戻り自転車にまたがる。もう積丹には心残りは無い。さっさと余市に行ってニッカの蒸留所をゆっくり見物しよう。そう思っていた。岬を出てすぐのところにウニ丼のノボリがはためいていた。気がつくとハンドルはそちらの方向に曲がり、気がつくとウニ丼を注文していて、気がつくと目の前に炙り&蒸しウニ丼があった。
積丹産の生ウニはまだ時期ではないらしい。根室産の生ウニ丼はあったが4200円也。ひょえー
味の方は言わずもがな、絶品である。元々ウニはそんなに好まない僕ではあるがこのウニは絶品だと声を大にして言える。生クリームのような甘さと磯の香りのハーモニー、下の上で滑らかに溶けていき、口の中に広がるウニの芳醇なうまみ、それらとご飯、醤油が絶妙にマッチし一つの芸術品であった。あぁとにかくウマイんじゃ!!蒸しウニでこのクオリティなら生ウニは、、、。そんなことを考えると夜も眠れなくなりそうなのでやめておく。次に来た時のお楽しみだ。再訪確定。
これでもう心残りなく走り始める。途中休憩した際にスポーク折れを見つけてテンションが下がりながらも余市に無事到着。この時、すでに4時15分。なぜ時間を示したかというと僕が楽しみにしていたニッカウヰスキー余市蒸溜所の試飲場の営業が4時45分までなのである。その後脱兎の如く駆け抜けなんとか営業時間内に試飲場へ到着。お帰りの際は絶対自転車に乗らないでくださいと念押しされ、僕も固く約束してウイスキーをいただく。
左からシングルモルト余市、スーパーニッカ、アップルウイスキー。
席に着いて、飲み始める前はニヤケが止まらずはたから見たら危ない人だっただろうが関係ない。オススメの飲み方、シングルモルトはロック。スーパーニッカは水割り、アップルウイスキーはソーダ割りでいただいた。展示物が一切見れなかったが、余市に何日か滞在する予定なのでまだチャンスはあるだろう。
その後近くにある余市川温泉の社長に頼んで泊めさせていただく。温泉もタダ、夕飯もタダで食べさせたいただき感激である。明日は農作業の手伝いをする予定である。また新しい経験が出来そうでワクワクすっぞ。
走行距離 98.5キロ