4287のよろっと自転車日本一周旅

よろっと旅にでようや

初・沈没 21日目

 この旅始まって初の沈没となった21日目である。起きた瞬間、「あ、もう一泊しよう」と自然に思ってしまった。別に身体がしんどいわけでも、自転車を漕ぐことが嫌になったわけでもないがもう少しこの石の家で時間を過ごしたくなったのである。

 

 主である遠藤さんにもう一泊お願いして、作業を手伝う。軽トラに乗り込み、色々な場所を巡った。別の場所にある倉庫や廃校になった小学校などここに泊らなくては体験できないことをさせてもらった。

 遠藤さんはせたな町で定期的に自転車のロングライドイベントを開催しており、そこで使うバイクスタンドやコースの案内板、看板などはすべて手作りだ。遠藤さんは好奇心旺盛でなんでもやってみて、試行錯誤し、完成させるのだという。見習いたいところがたくさんある。そんなことも軽トラの中で話しながら資材を運ぶ。

f:id:yotsushu:20190511002344j:imageこれ全てがMade by 遠藤さん

 

 石の家に戻り昼食を食べた後は再び車で出かける。しかし車種は変わりSUVになる。ドライブがてらロングライドのコースを見せていただいた。コース決めもすべて遠藤さんが行っており、せたな町のすべての道を網羅しているという。これも先述の好奇心の話に繋がる。この道はどこに通じるのかなと思ったら確かめずにはいられないらしい。それで熊にあったことも何回もあるそうだ。

 肝心のコースは素晴らしい景色だった。平地の田園地帯から坂を登り、小高い丘の上まで来ると両脇には牧草地が広がり、そこかしこで牛が草を食んでいて、遠くには雪を抱いた狩場山を眺め、海沿いには風力発電の風車が並んでいる。そこには遮るものは一切なく空との距離も近いように思えた。

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f:id:yotsushu:20190511003318j:image大泉洋主演「そらのレストラン」のロケ地。大泉洋がここに居たということに興奮する。
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 再び石の家に戻ってきたら次は掃除だ。高い梁に登って窓や壁を拭く。高いところは大好きで、いくつになっても登りたいと思う。お世話になった分、心を込めて拭いたつもりだ。一つ一つ装飾が細かく近くで見ると改めてこれを独学で作ったことに驚いてしまう。

 

 今日の夕食は自炊する。先程のドライブでとってきたギョウジャニンニクともやしと豚肉をジンギスカンのタレで味付けしたものを肉味噌パスタにぶち込んで食べる。これがまた美味しかった。自画自賛である。

 それと昨日食べたギョウジャニンニク豚バラ巻きを自分でも作ってみた。バイト先で似たようなものを作った経験があるので難なくできた。アスパラ豚バラ巻きのスキルがこんなところで生きるなんて思いもしなかった。やっぱり何事も経験だな。ちなみに写真はない。撮る前に全部食べてしまった。我慢できなかった。反省はしていない。

 夕飯を食べた後はじっくりと今まで来た旅人の言葉を見たり、石の家の制作風景をまとめたアルバムを見たりと贅沢な時を過ごした。それらを見ていて思ったのは人との縁、出会いの大切さである。最近の大学生が言う「この出会いに感謝」とか「一期一会卍」とかの薄っぺらい言葉ではなく、人との「縁」を大切にし、石の家を仲間達と建て、僕たちの様な小汚い旅人を迎えてくれるそんな方だからこそ説得力がある様に思う。そこにはそれこそ石の様な硬い意志があるのだろうと思う。

 最後はダメなシャレ、略してダジャレで終わってしまったが、この家で得たことはこれからの旅でも忘れないように心掛けようと思う。

 明日は出発する予定だ。どこまで行くのかはまだ決めていない。次はどんな縁があるか楽しみである。

 

走行距離 0キロ