頭がイカレる道 44日目
6月2日、天塩のタコ部屋みたいなライダーハウスにて起床。天気予報を見ると9時過ぎから雲が晴れるようだ。その時間になるまで待機する。
なぜ雲待ちをするかというと天塩の町を抜けた先にある道道106号は日本屈指の絶景コースで、そこに雲ひとつ無い青空をぶつけたかったからである。この道道106号は三年前の自転車旅の際にも通っている。その時の感動を今でも覚えている。最初の自転車旅にこの道を走ったことは自転車で日本一周しようと思った要因の一つになっていると思う。
雲が晴れたので走り始める。町を抜けたらすぐに平原が広がる。日本4位、道内2位の大河、天塩川を超えて海沿いを走る。右手にはオトイルン風力発電所の風車。左手には雄大な日本海とそこに浮かび上がるようにそびえる利尻富士。
この時点でも最高に気持ちいいのだが、まだまだオロロンラインは余力を残している。途中北緯45度線を超え、悪天候用のシェルターを超えると電線も風車も何もない、見渡す限りの原野が広がる。
北緯45度線。東京が北緯35度なので10度も北に来た。
花には少し早い時期だったがそんなことは関係ない。この空に吸い込まれそうなぐらい真っ直ぐな道を走っているともう止まらない、たまらない。右も左も一切の遮蔽物なしに平らに広がる世界なんて気持ち良すぎる。この道を走っていると、ああ生きててよかった、自転車で走ってよかったという気持ちになる。
こんな絶景を眺めながら数時間走っているとだんだん頭がおかしくなってくる。大声で歌って、叫んで生を実感する。そしてそれを動画に撮ってSNSにアップする。こうなったら人間おしまいである。まぁそれをしたのは僕なんですけど。
そんなこんなでまっすぐな道は終わりを迎え、丘が広がる地帯に入る。いままでのひたすら平らな原野も大好きだが、この景色も僕は好きだ。緩やかなアップダウンで足にも程よい刺激があり、丘を越えて伸びる道は歌詞の中の世界のようだ。
少しわかりづらいかも。
そんな至高の道を堪能した後は稚内市内へ。はじめに野寒布岬を通り、稚内駅へ。有名な堤防ドームへも行った。今では堤防ドームでの野宿は禁止だが、ぜひ一度体験してみたかった。
その後南稚内のライダーハウス、みどりゆに投宿。宿では日本一周中のライダーさんと焼酎を飲みながら語り合う。この話の中で次の日の予定が決まる。こういう出会いがあるのがライダーハウスのいいところだと思う。
ライダーハウスみどり湯HPより引用
走行距離 78.2キロ