4287のよろっと自転車日本一周旅

よろっと旅にでようや

241〜244日目 決断

 12月15日、宮崎市で起床。今日は一日雨らしい。実際ネットカフェから出ると雨が降っていた。南国らしい雨で、ザァザァと降っていた。

 もう僕に残された時間は少ない。年内までにゴールする必要があったためだ。これから厳冬期の日本海側を通ることを考えると一刻も早く北上したいところだった。雪で閉じ込められる可能性も大いにある。決断を迫られていた。

 これから九州を北上、山陰地方から北陸に抜けるルートでは正直時間が足りない。多少ショートカットしても補いきれないほどだった。さらにスタイルの変化にも迫られる。僕のスタイルはゆっくり進み、気に入った場所あれば何日も留まる。せっかちな旅はできないのだ。

 ただそう簡単にショートカットは出来ないと思っていた。変なところにこだわりがある僕は日本の外周をほとんど走ってこそ日本一周だと思っていた。よく高校の時のコーチにも「ヨツは頑張りどころをよく間違う」と言われていたのを今回思い出した。
 このまま自走でゴールまで走る、しかし最後は雪に阻まれるかもしれないし年内のゴールはほぼ不可能。どこかに寄る時間も無い。ただ、本当の意味での日本一周には近くなる。
 一方ショートカットを使えば多少の余裕は出来る。どこかで大きくサボらない限り年内にゴールする事は十分可能だし、金沢の友達にも会えるし、どこかで観光する時間もあるかもしれない。しかし九州の中で大分県と山陰地方を丸ごと走り残すことになる。
 その葛藤に苛まれながら宮崎の雨をぼーっと眺めていた。

 考えはまとまらずどちらにしても急がなければならないのにこの日は結局動けなかった。まぁ雨だしね。

 たっぷり二日考えた。結論は宮崎港からのフェリーに乗船、神戸港に着岸して近畿の内陸を横断、琵琶湖の西岸を抜けて福井へ。その後日本海沿いを石川富山新潟と北上する。

 大分と山陰は走れなかったが仕方ない。この後のリベンジ用に取っておくことにする。北海道の道南も走れてないし。併せて取っておくことにした。

 この結論に至った理由はまず僕は先述したとおりせっせと真面目に走る方じゃない。必ず一日100キロ以上走らなきゃいけないのは無理だ。どこかで必ずアレルギーが出てさぼる。
 そしてもう一つ、旅に出た動機について考えてみた。僕は日本を見て回りたかった。そこにどんな人がいて、どんな生活を営んでいるのかが知りたかった。その目的は概ね達せられたと思っている。もちろん大分も山陰も見てみたい。今回走らなかった県もまだまだある。しかし別に今でなくてはいいんじゃないか。これから先来ればいいんじゃないか。とも思った。明日がどうなるか分からないが必ず訪れると決めていれば何があっても訪れる機会はある。というか作る。

 そう思ったら結論は出た。フェリーに乗ろう。

 友達には「日本一周じゃないじゃん!!」って言われるかもしれないけどそれも美味しいなぁ、うまい返しを考えておかないと。

 というわけで12月18日、宮崎港からフェリーに乗り込み神戸港へ向かって出発した。約12時間の船旅だ。